書くことでストレス発散してる

過去の恋愛のおもひでを語る

じゃあね

星が、綺麗だな、と思った。

 

彼のマンションから見る夜空はとても綺麗だった。それは好きな人と見ているからなのか、今日の天気が良かったからなのか、それとも冬になる手前の季節だからなのか、私には分からなかった。

 

彼には、一度「付き合おう」と言われていた。その時はまだ彼のことをよく知らなかったし私には他にも気になる人がいたしですぐには返事ができなかった。だから「もう一回デートしてから考えよ」と言った。今でもこの決断が正しかったかどうかは分からないけれど、多分、正しかったんだと思う。

 

その日は告白されてから初めて会う日で、彼の家に忘れていったゲームを取りに帰るだけだった。でも疲れ切ってた私はベッドで寝ていい?と聞いていた。そうなるとやっぱりしばらくするといちゃいちゃし始める。23年も女として生きてたらこんなこと分かりきってて、だからギリギリのところで止める。こんなことしてたら幸せになんかなれないなって思いながらも、今楽しいからまあいいかという葛藤が私の心の中で暴れる。

 

疲れてまた私が寝始めると彼は一人スマブラをする。しばらくすると私のところに戻ってきて「寂しかった?」と抱きしめる。うん、と頷くと「素直なの珍しいね」と頭を撫でる。この瞬間が堪らなく好き。彼氏じゃない人と恋人ごっこしてる稀有な時間と切ない気持ちが相俟って私は満たされる。

 

彼がアップルパイを買ってきたと言うので冷蔵庫から取り出す。レンジで温めてる間、思いっきりジャンプして彼に抱きついてみた。そしたら軽々と身体を持ち上げられてキッチンに座らせられた。あ、これ、韓ドラで見たやつじゃんってニヤける。ドラマで感じたキュンキュンを現実世界でできる喜びは胸の中では収まりきらない。彼の顔が近づく。そっと避ける。

 

「キスかわすの上手だね」

「そんなことないよ」

 

こういう時の言葉はいらない。ただ見つめあっているだけで心も通じ合うような感覚を覚える。

 

チンと電子レンジが鳴った。そのままベッドで彼の腕にくるまりながらアップルパイを交互に食べる。

 

「最後の一口、食べていい?」

「いいよ」

「やっぱおれにも一口ちょうだい」

 

もう既に口に含んでいるアップルパイを彼が食べる。

 

「合法的にキスできた」

 

彼がイタズラっぽく笑う。ずるいね、可愛いよ。

 

それからまた布団に潜り込む。ギリギリのラインをお互いが攻めて、攻められて。この楽しさは付き合ってないからこそのドキドキと罪悪感が入り混じっていて、心地よくないはずなのに何故か心地よさを感じてしまう呪いの時間だ。

 

 

また疲れて寝てしまうと、彼が忙しなく仕事をし始めた。邪魔しちゃいけないかなと思って携帯を開く。男友達から恋愛相談のラインが来てた。楽しそうに返しながら彼の方を見ると携帯をいじっていた。

 

「仕事終わった?」

「うん」

「気遣って待ってたのに」

「寂しかった?」

「うーん、寂しかった」

 

また抱きしめる。罪悪感でいっぱいになる胸を他所に満たされていく心。欲ってなんて無慈悲なんだろう。

 

思っていたよりも男友達の恋愛相談が深刻だったので彼と一緒に考えることになった。

 

「おれも男子校だったから分かるな」

「どんな風に勉強したの?」

「ひたすら脳内シミュレーション。あと女の子によってやっぱり喜ぶポイントって違うしそこは経験かな」

「ふーん」

「あとイベントとかあったら一ヶ月ぐらい前からリサーチするよね。プレゼント選ぶ時も検索のコツあって、貰って嬉しくないものとかあえて検索する」

「そうなんだ」

 

 

なんとなくだけど、彼は私にここまでやってくれない気がした。そもそも、私一ヶ月後誕生日だし。

 

明日も仕事があるから帰ると言った。

 

「帰らないで。泊まってくでしょ?」

「いや、帰るよ」

「ほんと?」

「うん。なんで?」

「だっておれ、一人じゃ寝られないし」

 

それなら私じゃなくて良いじゃん。遊ばれるのはこっちからごめんだ。

 

帰り道、当たり前のように恋人繋ぎをして帰る。当たり前のように私の荷物を持ってくれる。当たり前のように家まで送ってくれる。楽しい会話も、たった十分の帰り道も、これで最後にしよう。この人は、私に本気にならない。

 

 

冷たい夜風が私の頬をきる。手だけはやけにあったかくて、でも私の心は冷えきっていて、意志が弱い自分に飽き飽きして、やっぱり今年の冬も一人で迎えようと固く決意した。

 

 

「送ってくれてありがと」

「うん、またね」

「じゃあね」

 

 

元彼はじゃあねって言葉が嫌いだったけれど、彼はなんとも感じないみたいだ。

 

 

今日、彼のことをブロックした。私はこの短い恋に終止符を打った。安い自分も、迂闊な行動も、弱い意志も、貴方との思い出も、全部。

 

 

じゃあね。

 

 

 

 

私流、恋の終わらせ方、5選

読者の方はもうご存知かもしれませんが、私は世間で言う「クズ男」を好きになるタイプです。生まれてこの方、常に誰かしらから好意を持たれ続けてきましたが一年以上一人の人とお付き合いが続いたことはありませんし、まあ大体は三ヶ月ぐらいで別れてしまいます。でもそんな短い間のお付き合いでも、私はきちんと彼のことを好きになり夢中になってしまいます。私から振ることもありますが、振られることも、音信不通で別れたことも。。。。そんなこんなで私なりに無理矢理ながらも恋の終わらせ方をいくつか習得できたのでご紹介しようかなと思いました。

 

 

前置きが長くなりましたが、早速ご紹介していきます。

 

 

①実家に帰る

実家に帰ることで好きな人のことを考える時間が少しでも減ります。常に家族に囲まれて生活ができ、話し相手もいるこの空間。最高すぎます。実家に帰ればペットもいる。あ、ペットいないという方はぜひ実家のお父様とお母様を説得して飼うよう仕向けてみてください。癒され具合が段違いです。また距離的にも好きな人と会えなくなるかと思います。物理的に会えず、考える時間も自然と減る。豊かな自然と穏やかに流れる時間。実家に帰ることで多少なりとも気が紛れるのはい言うまでもないでしょう。もし親御さんと恋愛相談ができる仲の方でしたら、アドバイス等ももらうのも良いのかもしれませんね。

 

 

②仕事を詰め込む

これは時間的に恋愛のことを考える時間をなくす、また打ち込めることを探すといった観点からです。みなさんもうすでに実行している方も多いと思うので言うまでもないとは思いますが、この効果は結構すごい。仕事人間じゃないからこれはいいやと思っている方がいたら、いや、ちょっと待って!!これ効果絶大だよ!!と押し売りしたいです。私の場合はシフト制の仕事をしているのでなかなか本業では時間外に仕事をやることができませんが、副業を始めるようにしています。知り合いの方から案件をいただいたり、ボランティア感覚で臨めるプロジェクトに参加してみたり、副業に詳しいお知り合いがいらっしゃたら連絡してみるのも良いかもしれません。クラウドワークスやランサーズといったフリーランス向けの副業もあるので登録だけでもしてみてはいかがでしょうか?あとは新しいコミュニティに参加する、新しい世界に飛び込むというのもかなり効果的です。新しい経験は恋愛と同じくらい刺激的ですからね。まあとにかく、仕事は辛い恋愛を忘れさせてくれます。大好き。ヴィヴァ・仕事☆

 

 

③連絡先を削除する

これは本当に効果絶大です。連絡先削除なんてできない…という方は非表示だけでもしてください。トークも友達欄からも非表示!!!!実際、男なんて66%の確率でこちらから連絡を途絶えたとしてもまた連絡してきます。66%です!!!!!絶対ではありません!!ブロックをしない限り相手から連絡が届けばまた繋がることはできますよね。女はこれくらい潔くないと振り向いてもらえないというのが現実です。辛いですね。あんなに好き好きと好意を見せてくれたのにいつの間にかこっちが追いかけている始末。。。。男って惚れさせるだけ惚れさせといて、こっちがちょっと尻尾を振り始めたらなんとなく去ってしまう。。。。本当に地獄に落ちてほしいですね。おっと、口が滑りました。とりあえず、LINEの思い出は罪深いです。頻繁にくるお誘いのLINE、今何してるといった日常LINE、明らかに私のこと気になっている好意LINE。。。。辛い。辛すぎる。全て見えなくしましょう!そんなクズ男に感傷している場合ではございません!!

 

 

④自分を大切にする

「自分を大切にしなきゃ幸せになれないよ」とかよく言われません??私あれ大っ嫌いなんですよね。いや、自分の幸せ考えるなら私、好きな人と付き合いたいんだけど?ってなるのに周囲の人は全力で止めてくる。なんなん、あれ。自分を大切にするって正直一番難しいと思います。だって大切ってそもそも抽象的すぎるし。笑ここで言う大切はとにかく自分の気持ちに素直になることと定義しようかなと思います。素直になって、自分の心のうちを全て吐き出す。でも立ち直るのは自分の力で立ち直りましょう。ここで誰かの力を借りると本末転倒です。だって他人なんて期待するだけ無駄ですから。自分の予想と反する行動を取ってくるのが他人です。自分を傷つけたくなかったら立ち直る時はいつだって自分の力だけで立ち直りましょう。とりあえず、自分に素直になる。気が済むまでカラオケで熱唱したり、ゴルフの打ちっぱなしに行ったり、めちゃくちゃ高い焼肉を食べに行ったり、気の済むまで寝たり、仕事放棄して小旅行に行ったり。もう欲のまま動いちゃいましょう。やっぱり、恋が終わった時に一人で家に篭って思い出を反芻するのはよくありません。自分の欲のままに動きましょう。

 

 

⑤彼の嫌なところを心に留める

とは言っても、ふとした時に、例えば朝起きて一番にとか湯船に浸かった瞬間にとか家までの帰り道突然にとか、彼のことを自分の意思とは反して思い出してしまう時がありますよね。思い出の地を通った時、一緒に見た景色を見た時、カップルが手を繋いで歩くのを見た時、彼と同じ名前を聞いた時。うーん。辛い。辛いよ。。。そんな時は彼のこう言うところが嫌だったというところを必死に思い浮かべましょう。例えば連絡をよこさずに不安になって一日苦しい思いをしたこととか、行こうと言っていたところに結局連れてってくれなかったとか、せっかく一緒にいるのに携帯ばっか見てて構ってくれなかったとか。え、?待って?私が好きになった男、最悪じゃね、、、、????失笑このようにいかに最低な男であったのかを再認識できます!こんな可愛い私をこんな辛い思いさせるなんてあり得ません!地獄行きです!

 

 

そんなこんなでもう二千文字以上書いているのが驚きですが、私のおすすめの方法はこれくらいです。でもやっぱり恋の終わらせ方って自分の意思を尊重した方がいいと思います。誰かにやめなって言われたからやめるとかじゃなくて、自分の意思で決めたほうが絶対いいです。後悔しません。そして終わらせると決めたからには自分の力で立ち直ることです。友達や家族に辛いという気持ちは聞いてもらうことができても、2本の足で再び立つことは自分の力でしかできません。誰かに支えてもらった立ち方はいずれ崩れてしまう可能性が高いです。

 

一番は辛い恋愛をしない、しそうになったらハマる前に容赦なく切るが理想ですがなかなかそううまくはいきませんよね。ダメだと思っても足を突っ込んでしまうのが人間です。大丈夫です。人生は長いです。何もかも経験です。頑張りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

理性と感情

その日はすごく酔っていて、何杯飲んだかは覚えていない。

一ヶ月にわたる大仕事を終え、久しぶりのお酒に溺れてしまっていた。

友達が呼んだ男も交えて宅飲みをして、ベロベロに酔っ払って深夜1時に解散。トイレで潰れていた時に介抱してくれた男が家まで送ってくれてLINEを交換、した気がする。というくらい記憶がなかった。

 

翌日スマホを見ると

「お水たくさん飲んでね!おやすみ」

とのLINEがあった。

「はーい!」

「今度ランチ行こ!」

 

…なぜランチ???彼なりの本命ですアピールの一部だとそういえば昨夜言っていた気がする。高学歴で見た目が整っている人は問答無用で遊んでいる。私はプライドが高いので、そういう人ほど雑に扱って下に見られたくないと思ってしまう。適当にがっつかない程度に返信。

 

「良いよー!」

 

翌週ランチに行くことが決まった。

 

当日。

どうも洋服とメイクの相性も良くないし、なんだか今日は調子が悪いなと感じた。でも、なんとも思っていない人だからいいやと思って家を出た。

 

彼を見つける。高い身長、切れ目長の奥二重、回転の早い会話、留学の話、最近の趣味はゴルフ。

んー、王道ありがちモテる男の会話。付き合う前のデートのテンプレートをまた繰り返す。彼の手のひらの上で泳がされたくないなと思いつつ、ノリがいいのでどうしても盛り上がってしまう。

 

午後は私の仕事が残っていたので、お昼だけの予定だったけれど、あまりにも盛り上がってしまったので勤務後も会うことになった。以前から興味があったゴルフの打ちっぱなしに付き合ってくれるらしい。

 

夕暮れ時、彼の家の近くの打ちっぱなしに行く。ここで一気に距離が縮まる。クラブの握り方を教えてもらって、フォームの確認、アドバイス。「ゴルフができる俺」を思う存分見せられて普通の女の子だったら即落ちだろうなと感じる。

 

その後、お腹が空いたから彼の家でご飯作ることになった。まんまと家デートにされているけれど、まあいっかと思った。男に料理を作るときは決まって肉じゃがを選ぶ。家に行って、一緒に料理という定番のデートをしてしまうとかえって恥ずかしくなってしまうのは私だけなのだろうか。

 

一緒に作った料理を顔のいい男と一緒に食べるのは世界一幸せだなと不覚にも思ってしまった。

 

その後近所の河原を散歩した。彼が練習中のスケボーを持っていくと言った。もちろん私もスケボーに乗ってみる。まだ危ないからって手を繋ぎながら乗る。慣れてるな、ずるいな。

この散歩コースは本当に大好きな場所だから、絶対に気に入った男にしか紹介しない。私の特別な場所だ。

 

川を眺めてお互いの恋愛観を語る。

 

「〇〇ちゃんは付き合ったらどんな感じなの?」

「うーん、さっぱりしてるよ!」

「おれ、なんか束縛されがちなんだよね」

 

うわ、元彼と同じだ、と心の中でつぶやく。こうやっていつも新しいこと経験させてくれて自分のペースがある男とのデートは本当に楽しいし夢中になる。中毒性があるから一緒にいる時間の一瞬一瞬がとてもキラキラしている分、会えない時の寂しさは計り知れない。だから女の子はみんなメンヘラにもなるし束縛もしたくなるのだ。

 

この男は絶対に好きになっちゃダメだ。本能でそう感じた。

 

「へえそうなんだ。私はさっぱりしちゃうから束縛とかわかんないや」

 

適当に流してこの話題を終わらせる。

 

「そろそろ行こっか」

 

帰りにコンビニに寄った。アイス食べようと話して、パピコがあったので半分こで同意。

 

「おれ、男子校だったからパピコ半分こが夢だった!」

 

可愛いところあるじゃん、、、

でも私の場合は男の子と散歩する時のテッパンだし、正直パピコを半分こしたのは何回目か思い出せなかった。今までの自分の計算高さに萎えた。こういう定番なことは本当に好きだと思った人と限られた回数でしかやらないから輝く思い出になるのに。

 

時計の針はもうすぐ0時を指す。

この前と同じように家の前まで送ってもらった。

 

「じゃあ、気をつけて!って、家の前だけど笑」

「送ってくれてありがと!じゃあね!」

 

絶対に好きになったらいけない人。もう会いたくないなって頭では無理矢理そう思うようにしているけれど、きっと今日のデートを思い出すたびに心が弾んでしまうだろう。

 

顔が良くて優しくて楽しくて、一緒にいるとまるで自分が少女漫画の主人公のようになったように感じて、新しいことを一度にたくさん経験させてくれる男は決まって危ない。ツツジの花の蜜はとっても甘いけれど、全部を吸い切ってしまうと後々苦さが伴ってくる。もうその手には乗りたくない、乗らない。

 

気持ちの良い夜風が私の感情も一緒に流してくれればいいのに、夏と一緒にこの感情も過ぎ去ってしまえ。

 

 

 

私は23歳の夏に、そうして終わりを告げた。

 

 

 

 

好きじゃなかった彼氏のこと

就活が終わって一息ついた時、当時付き合ってた彼氏とディズニーシーに行こうと話していた。丁度その時は七夕のシーズンで半袖だけで過ごすのが心地いい季節で手を繋ぐにはすこし暑いなと思っていた。
 

彼とは長い付き合いだった。彼は一年生の頃から私に想いを寄せてくれていた。当時からくっついたり離れたりを繰り返して四年生に上がる頃、復縁という形でまた恋人になることになった。


だから改まって手を繋ぐのが恥ずかしかったし写真を撮るのもイチャイチャするのもなんとなく嫌だった。多分それは気持ちが冷めていたからとかそんな単純な理由だけではなくて、私が彼のことを彼氏として見ることができなくなっていたという明確な理由もあった。


普段は自分からエスコートしないくせに、彼はその日は自分から手を繋いできた。ディズニーの雰囲気がそうさせたのだろう。彼の方をチラリと見るといつもに増してノリノリで楽しそうだった。でも私は五分経つと「暑いね」と薄笑いを浮かべて手を離した。その時の彼の顔は見ていない。


お酒を買おうと言って海の見えるところに行った。七夕の短冊が飾ってあった。せっかくだから書いてみようとなった。私は「第一志望の企業から内定貰えますように」と書いた。彼はそんな健気な私を見て愛しそうに微笑んだ。彼はあの時、願い事を書いたのだろうか。もし書いていたらあの時の彼の願いはなんだったのだろうか。私は彼のことを何も知らない。興味もない。なんのために一緒にいるのだろう。


エレクトリカルパレードを一緒に見た。写真を撮りたかったが、電池がなくなるからという理由で、携帯を機内モードにしていた。彼は最新型のiPhoneを持っていたし私がねだったら喜んでカメラマンになるような男だったからパレードの写真を沢山撮らせた。


パレードが終わった頃、なんとなく携帯の電波を通したら非通知設定の着信履歴があった。その時は分からなかったが、内定の電話だった。それを見た瞬間、ソワソワした。彼とのディズニーシーどころじゃなくなった。「どうしようどうしよう。出られなかった。またかかってくるかな。」焦る私に、彼は「大丈夫だよ。」と優しく言った。たくさん慰める言葉をかけてくれた。


ファストパスの残りも乗りたかったアトラクションも全部終えてもうそろそろ帰ろうと言った。最後に地球儀で写真を撮ってもらおうとした。近くにいた映えに厳しそうな女子高生がいたので撮ってくれと頼んだ。喜んで撮ってくれた。


「キス写真いいんですか?」


顔を見合わせた。満更でもなさそうな彼を見て慌てて言った。


「いや!!!大丈夫です!!ほんとに!!!」


女子高生はなぜか悲しそうに「そうですか。みんな撮ってるのに」と言った。


ごめん、と思った。好きじゃない、と思った。早く終われ、と思った。こんなに楽しくないディズニーってあるんだ、と思った。


その2日後、会社から改めて内定の電話を頂いた。嬉しくて泣いた。就活はすごく頑張ったから本当に嬉しかった。一番は家族に、二番は彼に報告した。彼は「本当によかった。少しだけ電話していい?」と言ってくれた。見てなかったことにして次の日の朝「ごめんね。寝てた」と言った。嬉しくて幸せなはずの朝なのに胸がズキズキ痛んだ。


何もかも解放された私は狂ったように遊んだ。ナイトクラブに行き自分好みのイケメンをナンパして腕の中に包まりくっついたり抱き合ったりした。ディズニーではしなかったキスもした。狂っていた。確かに狂っていた。いや、人間として終わっていた。


その二週間後、ついに自分のしていることに耐えられなくなった私は彼に電話をかけた。「気持ちに応えられなくなった」と話した。頭がイカれていたので、別れ際なのに「もう毎朝おはようってライン来ないの寂しくなる」と言っていた。彼は少しキレていた。当たり前だ。


人生で一番最悪なことをしたし、自分の残酷さにも呆れていた。でも、気持ちに嘘をついて騙し騙し過ごせるほど自分は器用でなかった。結局自分が一番好きで一番大事だった。酷い罪悪感に苛まれると同時に解放感を抱いている自分が憎くてたまらなかった。でもそんなに現実は甘くなく、その罪悪感は時が経てば経つほど濃くねっとりと私を絡み付けていった。


あれからもうすぐ二年が経つ。元気だろうか。さすがにもう私を思い出さなくなっただろうか。もしくはまだ私を憎んでいるだろうか。私は今でもあの時の愚かで自己中で鋭利な自分が憎いよ、ごめんね。


あの時の短冊に彼はなんて書いたのか、それとも書いてすらいなかったのか、少し知りたいと思うのだけれど、私は一生知ることができない。

恋をしてまた一つ大人になって

彼氏と別れて1週間。

別れた、というか自然消滅だった。共通の友達もいない、住所も知らない、インスタも知らない、そりゃあ関係も何も浅いし自然消滅になったって困るの私だけだもんね。本当にクソだな、お前。26にもなってそんなダサいことしてるのあり得ない。



この恋愛で学んだことって何だろうって思った。すぐに思い浮かんだのは「我慢しない」。それに尽きる。

私の今までの恋愛、全部我慢してた。だって自分が我慢してれば向こうはいい気になってくれるでしょ?関係も悪化することないでしょ?それなら我慢しよ、って本気で思ってた。馬鹿だなあ。本当に。恋愛は二人でするものでしょ?自分ばっかり犠牲になってそんなの恋愛じゃないよ。もっと自分の気持ち大切にしてね、って1ヶ月前の私に言いたい。


私は不器用だし一つのこと何個も同時にできないしあんまり長く人と付き合ったことないし、そりゃ人並み以上にはモテるとは思うけど、気持ち伝えたりとかもあんまり得意じゃないし、しかも素直になれないし甘えるのも下手だし。でも、そんな私を理解してくれる人だと思ってたのに、勝手に傷ついて期待して馬鹿みたい。



結局のところ、あなたじゃなくても誰でも良かったんだよ、私は。ある程度カッコよくてお金出してくれて学歴あってちゃんと手に職ついてて自慢できるような人なら別に誰でも良かった。だからこんなになったのかもね、ごめんね。なんて、本当は謝りたくないけどね!

あなたも幸せになってね、なんて言えるほど私は大人になれてないし引きずってるけど、本当に未熟な私に恋愛の難しさ教えてくれてありがとう!幸いなことに立ち直れなくなるほど好きになってたわけじゃなかったからよかったよ!ただあなたは一生独身でいてください。結婚なんてしない方がいいと思いますし、できないでいてください。人の不幸を願ってしまうほど幼くてごめんなさい!今の私には無理!



また一つ恋が終わったけど、私はあといくつの輝きを体験できるのかな?半分楽しみ、半分悲しい。でも私は今日も生きる。恋愛だけが全てじゃない。

恋愛なんてクソ食らえ

恋愛ができない。人を好きになれない。他人に興味を持てない。

いつだって自分が一番可愛いし、自分のことは自分が一番分かってるし、そんなことより合計5.6回会って話しただけの男に私のすべてを分かったようなフリをされては困る。お前は私の何を知っている。お前に見せている顔は、ただの虚像だ。こんなの私じゃない。

高い食事をご馳走になれば「えー美味しそう♡こんな所に来たの初めて…!雰囲気素敵だね」などの常套句を使い、相手を良い気にさせる。
口を開けば相手のいい所をいち早くキャッチし「すごーい!本当に物知りだね!知識が沢山ある人尊敬するしすごく好きなんだ」というちょっと気のあるセリフをポンポン発動させてしまう。

あいつは私のことを可愛くて気が利いて自分のことを褒めてくれる女神だとしか思ってない。

そんなのはただの嘘ででっち上げた存在するはずもない私であり、そんな私に対して「あなたのことが好きです」などとほざかれても何も心が響かない。それがどうした?お前は私の本来の姿を知ったらどうせドン引いてしまうだろ?冗談もほどほどにそれくらいにしとけよ、などと心の中で思いながら、「ごめんね。そんな風に意識したことなかった。しばらく考えさせてほしい」などとこちらも滑稽な嘘を返す。


私は病気だ。恋愛には人それぞれのパターンがあると思うが、私の場合は第一印象でこの人とはヤれる、ヤれないを決めつけてしまう。
本能で恋人を選ぶ狂人モンスターであるのに、絶対にこの人とはヤれないと思った人でも、ホイホイご飯ぐらいなら付いて行ってしまうし、LINEも来ればちゃんと毎日返してしまう。なんだかんだどんな人であれ、求められるのが嬉しく、気もないのに相手には気のあるような素振りを見せてしまい、その気にさせてしまう。

本能的にこの人とはヤれないと判断した男とも付き合った事はあるが、すぐに別の男に興味が向いてしまい、結局その人を傷つけた。人は同じ失敗を繰り返してはならないと義務教育のうちに学習したはずなのに、恋愛のそれはきちんと学ばなかったがために何度も失敗を繰り返してしまう。

私は分からないのだ。もしかしたらこの人のことは好きになれるかもしれない……なんて感情は捨ててしまった。
今日も私はどうでもいい男のLINEを返している。

それでもやっぱり好きだと思う

何かで「人は暇になると自分のことばかり考えてしまうから、出来るだけ文章に触れるといい。」という言葉を見た。

数週間前に彼氏ができた。私のことをとても好きでいてくれて、優しくて、一緒にいると楽しくて、この人なら信じていいと思った。でも付き合って数日後に寂しくなって他の男を利用して寂しさを紛らわせた。私何してんだろうって思った。何が楽しくてこんなことしてるんだろう。他人から来る寂しさを別の他人で紛らわしても埋まらないのはとっくの昔に知っていた。人は間違いを繰り返す。繰り返して繰り返して、ようやく乗り越えられた、成長できたと感じるも束の間、忘れた頃にまた同じ間違いを繰り返すんだ。

信じられるのは自分だけ。自分の機嫌を自分で取れることを出来るようにするには難しい。一度人から求められる快感を覚えてしまったら、人と一緒に紡ぐ快楽を感じてしまったら、またそれを味わいたいと思ってしまうのが人間ではないだろうか。

「恋愛ってさ結婚までの練習じゃね」昨日、彼氏からの寂しさを埋めようとした男から言われた言葉だ。結婚までの練習って、確かにそうなんだけど、私と結婚してくれるような男だったら別に誰でもいいって思っちゃう。そんな選ぶ必要ある?って思っちゃう。誰でもいい。誰でもいいんだけど、触れられたいと思うのは一緒に笑いたいと思うのは彼だけなのが本当に憎い。こんな想いするなら好きにならなきゃよかった。なんて思うのに、幸せだと感じる瞬間とかキスされるドキドキとか一つ一つの言動が頭の中ぐるぐる回って眠れないとか不細工な寝顔が愛おしいとか忙しくて心地よくてもっともっとって思っちゃうこの気持ちは大切にしたいし離したくないんだよね。

いつになったら会えるんだろう、気持ち冷められないかな、なんてぐるぐる考える時間を自分磨きに使えたり趣味に没頭したりできる女の子は強いなあなんて考えながら、私は彼からの返信を待つ。人から求められることが趣味な私はいつまで経っても子供のままだね。